最近の高校野球では、試合中に関わらず選手達が笑顔てプレーをしている姿をよく見かけるようになりました。彼らは試合中においても主体性をもって自分たちで考えながら野球をしているし、苦しい練習やつらいことに耐えてきた、いわば修行に近い経験をしてきたからこそ、試合では笑顔でやったほうが力を思う存分に発揮できるのだと思います。
カバラホークスでは野球を楽しむことを大前提にしたコーチングをしていますが、決して声を大にして「エンジョイベースボールやってます」とは言えません。
カバラでは、子供達の勝ちたい、活躍したい、もっと野球が上手くなりたいという気持ちを全面に押し出した野球をしているため、たくさんの笑顔の中で試合をしているよりも、緊張感いっぱいの中で、厳しい顔をしながら真剣勝負の練習や試合をする方が多いですね。
それに、子供達だけで考える野球を伸ばすコーチングはしていますが、レベルの高い上部大会を勝ち抜くためにはベンチから多岐にわたる指示がでるのはアタリマエといった風潮があることを踏まえると、決して子供達自身で考える野球ができているわけではないので、学童野球全般においても一般的に言うエンジョイベースボールをやっているとは言えません。これが良いのか悪いのかという議論はこの場でしませんが・・・
そんな中、カバラの6年生にとって大事な大事な上部大会において、6年間の締めくくりの試合で、最初で最後のエンジョイベースボールをやったのです!!!
23区大会 6年生の締めくくりの試合
その試合は23区大会の準々決勝、今年、東京都で最も強いチーム、金町ジャイアンツさんとの試合です。3年生だったときの竹の子育成大会の準決勝以来の、公式戦2度目の対戦となりました。低学年時代では勝利を収めましたが、高学年となって初めての公式戦対戦となったこの試合、ここまで差が開いているとはと諦めがつくほどに金町ジャイアンツさんは強くなっていました、そう、完敗でした。
でも、最後の最後に金町ジャイアンツさんと対戦できて本当に良かったです。自分たちに足りなかったものが何かを総括できましたしね。守備では一歩目の判断力、考えるバッティング、そして何より差が開いていたのは次の塁を果敢に攻める走塁力でした。この試合、金町ジャイアンツさんの走塁力を持っていれば、相手に流れを決して渡さなかったのではと思われる場面が2度ありました…最後の最後までやっぱり学ぶことはたくさんあるね。
やはり6年生にとって23区大会は本当に参加することに意義がある大会です。成長力が半端ないレッドサンズさん、そしてチーム力が半端ない金町ジャイアンツさんとの対戦、学童野球の締めくくりとして全く申し分ない最高の舞台を用意していただき、本当にありがとうございました!そう、負けて悔いなし!
カバラ流のエンジョイベースボール
さて、カバラの最初で最後のエンジョイベースボールのお話をしたいと思います。金町ジャイアンツさんとの試合前のミーティングでこのような約束が子供達と交わされました。
「今日の試合は笑顔でやり切ろう!」
「ミスをしても笑顔になる!周りも一緒に笑顔になる!そして、次に何をすべきか考える」
そう、なんちゃってかもしれませんが、カバラ流のエンジョイベースボールをすることになったんです。しかも、子供達にとっては最初で最後のエンジョイベースボールになったわけで…
いやー、ホント楽しかった!
やっている子供達も、応援している大人達も。
2回表が終わるまでは、もう、今まで体験したことがないほどに、子供も大人も野球をエンジョイしました。
子供たちの喜びながらやる野球ってホント観てて楽しかった、だから大人も楽しむ!
そんな楽しんでいる大人たちの姿を見て、嬉しい顔をする子供たち。
大人の楽しんでいる姿を観るのって、子供は好きですからね。
これがエンジョイベースボールなんだなぁ、選手だけでなく周りの大人も楽しくさせてくれるもの・・・
ただし、やっぱり普段やらないことは長続きはしないわけで、こちらのミスも影響してか逆転された頃には、エンジョイベースボールは終焉となっていました。
でも決して忘れないよ、あの1回表裏のカバラ流エンジョイベースボールは!こんな体験ができたことは良き思い出となったね、ありがとう、みんな!
今後10年間の野球界のトレンドに触れられて
ある選手がボソッと言いました、「カバラもエンジョイベースボールになれば良いのに…」、
あるコーチが言いました、「カバラでは難しいけど、上の世代になればきっとできるよ」、
他のコーチも、「あるプロ野球選手が過去を振り返ると、学童野球が1番厳しかったなって言っていたよ」。
それを聞いたその選手は「そうなんだ」と、なんか物足りなそうな表情でその場を離れていきました。
ふと考えると、エンジョイベースボールは今後10年間の野球界においてトレンドキーワードになってくることでしょうし、彼らが上の世代に進むにつれて主流となってくるエンジョイベースボールを、練習試合ではなく、このすごい緊張感の中でやったという経験で得たものは、今後の彼らの野球人生に活かされるものとだと信じています。
このようにして6年生にとっての最初で最後のエンジョイベースボールは幕を閉じたわけですが、またこの子達と、この大人達とともに野球の試合でエンジョイしたいな、もう一度できるかな、できないかな…
でも、これほどまでの緊張感ある試合でエンジョイベースボールできるのはもう無いことにふと気付くと・・・
彼ら6年生の卒部も間近だと言うことを改めて実感・・・
なんか、抜け殻になってしまいそうです・・・