足立選手権の決勝戦、相手は剛腕ピッチャーがいるチーム。何度か対戦しているのでどんなピッチャーなのかわかっていたのですが、この日の彼は神かかっていたほど、今まで見てきたピッチング以上の投球をしてきました。
カバラコーチ陣の誰もが口を揃えて「今日のあのピッチャーのボールはとてもじゃないけど子どもたちには打てない」。さらに試合前、本部の方からも「すごいピッチャーと対戦するんですね」と言われるほど。なにせ、推測110キロの速球、低めに集めるコントロール、手が出てしまうほどのキレのある高めの速球、アウトコースのボール球を有効に使われ、この数試合好調だったカバラの打線ですら、バットにボールに当てることすらできません。
でも、この日のカバラは決して下を向かいなんです!!!
三振ばっかりで打てなくたって、ミスをしたって、最終回まで負けていたって、カバラは決して諦めなかった。なぜなら子供たちも大人たちも勝つことしか考えていなかったから。最終回2アウト2ストライクに追い込まれていても誰も諦めなかったのは、6年生6人の学童野球最後を良い思いで終わってほしいと全員が心から願っていたから。選手たちもベンチも、応援団も、みんなで最後まで集中力を切らさず勝利を信じるオーラを発しながら。これこそ、まさに今年一番の全員野球でつかんだ優勝だったのはないでしょうか。
6年生同士の意地と意地との戦い
対戦相手の剛腕ピッチャーも6年生です。学童野球集大成となるこの決勝戦の場は、まさに6年生同士の意地と意地との戦いが繰り広げられてました。
それでもピッチャーからもぎとったカバラのチャンスはたった2回しかありませんでした。でもこの日たった2回しかなかったチャンスをしっかりと得点に結びつけたカバラ、先制点を奪った回、そして最終回のチャンス、2アウトから同点に追いつき、最後はサドンデスを制して、見事優勝を飾ることができました。しかも、先制点を叩き出し、サドンデスを決めたのが我らがキャプテンの一振り!この試合、カバラがとった4点のうち3点がキャプテンが決めたんですから、本当の意味での集大成でした。
この大会の終盤から6年生が大活躍する試合が続いたことで、有終の美を飾るという言葉がぴったりの、本当に見応えがある試合ばかりでした。この決勝戦でも最後は6年生が底力をみせつけてくれたんですから、なんてドラマチックな展開だったことでしょう。ただ、カバラの6年生が底力を発揮できたのも、対戦相手のピッチャーがみせつけた底力があったからこそです。彼らの意地と意地との真剣勝負があったこらこそのドラマチックな試合だったのは間違いありません。すごいボールで勝負してくれて、本当にありがとう!
そんな勝負を見た大人はみんな感動、涙する姿も印象的でした。閉会式から記念撮影の間、みんなの笑顔がとっても素敵でしたが、このチームで野球できるのも残りわずかと考えると、感動の涙以外にも心の中で寂しさの涙も流している皆さんの姿もまた素敵でしたよ!
この試合で得た思いを次につなげるために ~みんなへのメッセージ~
決勝戦にふさわしい戦いを終え、改めて思ったことがあります、この試合で得たものは今後のカバラホークスにとって大事な宝物になったことを。まずは、全員に向けたメッセージから。試合後に6年生のコーチの方が話してくれたことがとっても印象に残りましたのでご紹介します。
「6人しかいなかった6年生、練習も6人でしかできない日もあったし、子供たちのモチベーションを上げるためにどうすれば良いのか本当に悩み苦しんだけど、こうやって最後はいい思いをさせてもらえるんだから、諦めずにやることって本当に大事なんだね」
子供たちもこれから苦しいこと嫌なことがあって諦めてしまう気持ちになるかもしれない。でも、あきらめずに頑張ってごらん。最後にはこの試合のように「やっていてよかった」と思えることが待っているんだからね。
それと、このメッセージは大人にも勇気を与えてくれました。現在、カバラでも部員不足が起こっております。4年生・2年生・1年生の各チームは9人にも満たない学年です。実はこのメッセージは2年生チームになかなか部員が集まらないことを相談した時にアドバイス頂いた言葉なのです。正直、部員が増えないだけで前向きになれなかった気持ちを、もっと頑張らないといけないなという気持ちにしてくれたこのメッセージを受け取ることができたのも、この試合があったからこそ。このメッセージを次の世代に伝えていかなければならない使命感とともに、精一杯やってみます!
この試合で得た思いを次につなげるために ~5年生へのメッセージ~
試合後、監督から5年生に向けてメッセージが伝えられました。
「5年生、今日の試合は全然だめだったな。でもすごい体験ができてよかったんだよ。なかなかできないぞ!こんな速いピッチャーは今後の上部大会で必ず対戦するときがあるから。今日の試合で何ができなかったか、何をしなければならないかの対策がわかっただろう。この日の試合のことを忘れずに、その対決がくるときまで戦いの準備をしていきなさい!」
6年生とともに戦った5年生にとっても本当に貴重な経験をすることができました。110キロを投げるピッチャーをどう攻略していくか。今回は惨敗だった5年生諸君、学童野球はすべて経験がものをいいます。明日から早速、対策を練ろうじゃないか!この試合でどうやってピッチャーを攻めていったかを君たちは経験ができたんだから、作戦を練って、次なる速いピッチャーとの対戦を楽しみにしようじゃないか!
6年生とともに戦ったこの試合で経験したことは、君たちの宝物になったことでしょう。